中継のための手引き書。箱根の関所にからめて“手形”と名付けられている。ここに“世界的中継”の数々のノウハウが……。

第85回東京箱根間往復大学駅伝競走」

『東京箱根間往復大学駅伝競走』とは……日本テレビ1月2日7時00分~7時50分/第1部・箱根駅伝見どころ、7時50分~14時05分/第2部・実況中継(往路)、1月3日7時00分~7時50分/第1部・往路ハイライト&復路見どころ、7時50分~14時18分/第2部・実況中継(復路)、14時18分~15時00分/第3部・箱根駅伝エクストラ関東学生陸上連盟主催の駅伝競走。大手町・読売新聞本社前から箱根芦ノ湖半までの往路108.0km、復路109.9km、計217.9km10区間の生中継。21年前から一部中断をはさんだ中継をスタートし、19年前より完全生中継。今年の第84回大会では全区間のフルハイビジョン化に成功。スポーツの生中継としては世界クラスの規模を誇る。

箱根駅伝の正式名称は『東京箱根間往復大学駅伝競走』。2009年で85回目という歴史ある大会だ。主催は関東学生陸上競技連盟。あくまでも学生が主体で、厳密に言うと、関東の地方大会なのである。だが、そんなこととは関係なく、グッと来るのである。 日本テレビは21年前から中継に入り、19年前からは完全生中継を行っている。橋本プロデューサーは、ここ2大会を担当するプロデューサーだが、“いいものは引き継ぐ”のだと言った。 いいもの−−−−それは、橋本プロデューサーだけではなく、歴代の“箱根駅伝中継”に関わる人たちが引き継ぎ続けてきた、背骨。 そこにたぶん、グッと来る秘密はあるのだ。
 

―このように歴史ある大きな大会を担当することは、局内でも“名誉”や“重責”とされることでしょうか?

箱根駅伝は日本テレビが中継しているスポーツイベントのなかで、大きなもののひとつです。当然責任も重いです。非常に大きな位置づけの仕事ではある……んですが、名誉という言い方ではないですね。みんな、すべての番組を全力で作っていますので。 


―箱根駅伝のプロデューサーに任命されたとき、どのように思われましたか?

任命というよりは“自然となった”感じです。もちろん辞令のようなやりとりはあるんですが。もともと私は箱根駅伝を担当したくて、ディレクターとしてもいろいろな企画を出したりしていました。そして、その積み重ねで前回大会よりプロデューサーになりました。対外的な交渉もたくさんあるので、いきなり任命されて就ける仕事ではありません。これは箱根駅伝のみならず他のスポーツ中継に関してもそうなんですが、ただ番組を作るというだけでなく、競技の協会や連盟などとのやりとりを繰り返し、積み重ね、さらには未来に引き継いでいかないといけない側面があります。そういう意味では“今日からプロデューサーね”といわれていきなり担当するのはちょっと難しいでしょうね。


―過去にはどんな中継を担当されてきましたか?

「オリンピック」、「世界陸上」、サッカーの日本代表戦、アメリカンフットボールでは「スーパーボウル」の中継も担当しました。その他は野球中継。「スポーツ・うるぐす」などの情報番組も担当していました。 


―箱根駅伝は伝統がある大会ですから、担当する方々は過去の歴史などをしっかりと勉強するものですか?

どのスポーツでもそうでしょうけど、やっぱり知らずにやっちゃいけないと、僕は思っています。とくに箱根駅伝は84回(2008年1月)も続いてきた大会です。それだけの歴史の積み重ねがあるし、続いてきただけの理由もある。それを知らずに担当して、テレビ局が大会そのものをめちゃくちゃにしてしまうわけにはいきません。今後もずっと続いていく大会ですので、過去を知らないことにはできないでしょうね。
 

―その中で、プロデューサーとして“自分ならこうする”みたいなものはでてきましたか?

“自分がプロデューサーになったからには!”っていう意識はないですね。今大会が2回目ではありますが、まあ、“いいものは引き継ぐ、変えていくものは変えていく”というところでしょうか。
 

―どんなところを引き継ぎ、どんなところを変えましたか?

箱根駅伝には20チーム(2009年1月の第85回記念大会では23チーム)が出場しているんですが、根底にあるのは全チーム・全選手を紹介したいということです。どの大学のどの選手もできる限りイーブンに取り上げたい。それと、この大会で走っている選手は現代の選手なんですが、過去から積み重ねられた歴史がある。現代の選手という“横軸”と、歴史という“縦軸”を交えて紹介していく……昔、選手として走っていた人がいま、監督やコーチになっているケースもあるので。このふたつは引き継いでいくべきところだと考えています。歴代のプロデューサーたちも先代から受け継いできた要素です。変えるところは、おもに技術面ですね。新技術の開発とか導入に伴って、それだけサービスを充実させていきたいと思っています。 


―その受け継いできている部分がまた、“箱根駅伝中継”の歴史みたいになってるわけですね。

アマチュアスポーツであるというところが大きいと思うんです。プロ野球の場合、4番バッターやエースにだけスポットを当てても番組として成立する場合もありますが、それとは根本的に違う。アマチュアの場合は、いかに面白くても、特定の選手や記録に焦点を当てるべきではないんです。「箱根駅伝」という大会を作っているのは、走っている選手だけではありませんから。出場できなくてバックアップに回った選手、部のスタッフ、大学を卒業してしまった先輩、もっと昔のOB……さまざまな関係者みんなの大会だと思います。全員がいろいろなものを背負っている。現在という横軸と歴史という縦軸が必ずある。それらすべてを丁寧に映し出していきたいんです。もちろん取材の過程において、何かをやってもらうようなこともしません……プロ選手だったら“ちょっとポーズお願いします”と言えるのですが、それはアマチュアに対してやってはいけないことだと、僕らは思っているんです。 


―ポーズですら、ですか!?

なるべく。カメラを向ければ、みんな大学生だし、Vサインしたりする人もいますけど。僕たちが決して手を加えてはいけないものだと思っています。これは強い共通認識として、スタッフみんながもっている気持ちですね。

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番組data
番組名 第85回東京箱根間往復大学駅伝競走 ジャンル スポーツ
放送局 日本テレビ(日本テレビ系)
放送日時 1月2日7時から14時5分
3日7時から14時18分
番組URL http://www.ntv.co.jp/hakone/
主なスタッフ 総合ディレクター・稲垣眞一、プロデューサー・橋本敦 
チーフプロデューサー・今村司、松本達夫(敬称略)
スタッフ数 約950人
主な出演者 解説・碓井哲雄、瀬古利彦(敬称略)
放送開始日 大会の開始 1920年
放送の開始 1987年1月(2009年1月で68年) 85回

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