日本を動かすために一丸となる報道フロア

『ACTION 日本を動かすプロジェクト』とは……日本テレビ開局55年記念番組。2008年、年始より同系列にて不定期に放送され、年末にはフィナーレの大型特番(12月23日放送予定)を特別編成。日本テレビ報道局に所属するスタッフや同局報道番組が1年をかけて、特定のテーマにおける〝ニッポンの難問〟を掘り下げ、真実に迫り、問題解決に向け提言する。番組としては「Newsリアルタイム」「NEWS ZERO」「真相報道バンキシャ!」「報道特捜プロジェクト」「ウェークアップ!ぷらす」が参加する。

1年という期間だからこそできる報道。さらに視聴者や問題の当事者を巻き込んで、一緒に問題解決を考える報道。『ACTION』は、そんな発明ともいえる新しい報道の姿を生み出そうとしている。 


─さまざまな番組間のスタッフが携わったことで、相乗効果などは生まれましたか?

杉本 : 例えば特番では、「バンキシャ!」の総合演出で、「リアルタイム」のプロデューサーが取りまとめたこともありました。普通だったら考えられない組み合わせです。 


千葉 : これだけ人数がいるのですが、一緒に仕事をしたことがなかったという人も結構いたんじゃないかと思います。間違いなくコミュニケーションは促進されたでしょうね。それによって、いろいろと新しいことを作り出す可能性の素地が生まれたんじゃないかと。 


杉本 : 先日の会議でも、いつもなら出てこないような目線の企画書がある部署から上がってきたりと、変化を感じます。どこまで花開くかはわかりませんけど、これも成果といえるでしょうね。 


─1月にキックオフ特番、5月に中間報告特番、9月に各番組でACTIONウィーク、そして年末にフィナーレ特番と、起承転結の流れを考えてますか?

杉本 : 理想はそうですが、現実はそううまくは運びません。特に教育や医療の問題は、1年だけで問題を解決するのは難しい。その一方で、うまく起承転結になったものもあるし、先に結果が出て転じることなく進んだものもあります。 根底にある理念は、視聴者と一緒に特定の問題を追い、一緒に動かそうというもの。そのためにも、報道の過程はすべて見せたいと考えています。 


─一部で「マスコミは情報を流しっぱなし」という批判もありますが、それに応えようという意図もあったのでしょうか。
杉本 : どこかにそうした気持ちがあったかもしれません。
当初の企画書に記したキャッチコピーは「こんなテレビ報道見たことない」でした。ですので、報道としての本筋は踏まえつつも、手の届いていない部分をフォローするような番組作りを考えていたんですね。この番組をもってして、視聴者からの批判をすべて受け止められるとは考えていませんが、理想と現実を踏まえ、実際にできる範囲内で出せた結果ではあると思います。
                        アクション企画書!
千葉 : 僕はある種、『ACTION』はテレビ報道の発明品だと思っているんです。ウチには丸1日がかりの『24時間テレビ』、1週間を使う『エコウィーク』がありますが、『ACTION』は1年をかけて、ということで、第3の発明になるんじゃないかと。 まだまだ『ACTION』は、未完成(注:インタビューは2008年11月)と思いますが、番組HPに視聴者から数多くの意見が寄せられているのを見ると、「日テレ、なんかおもしろいことやっているな」というふうに思ってくれたんじゃないかと思っています。特にテーマとした医療や教育など、現役の当事者からのリアクションが多かったのが印象的です。
 

杉本 : 1年という期間だからこそできることも大きいですね。例えば医療問題というテーマでは、まず緊急医療のたらい回しについて調査しようと、現場の救急医療センターで探ってみると、どうもたらい回しというのではなく、実態は医師不足による受け入れ不能だったことがわかる。医療の現場で、そうした差し迫った問題があるということを放送すると、医療サイドからは好感の声が届きますが、一般視聴者のほとんどは患者サイドですから、それでも病院は受け入れるべきだという反発の声も届き、議論が生まれます。それからさらに踏み込んで、気軽に救急医療を受けてしまう「コンビニ受診」を問題提起し、患者側も考えてみましょうと話を振ってみたり、医療機関と患者側のコラボの実態が見えてきたり。もちろん医者や医療も変わっていかなくてはならず、仕組み全体の問題も追及します。月日をかけて追うからこそ、多角的な切り口で展開できるんです。 


千葉 : アクションすると、リアクションがくる。医療も奥深い問題ですが、テレビってわかりやすくするために噛み砕き過ぎてしまう傾向があると思います。それだと、多角的に物事を捉えずらい。また日頃は今起きている事件で手一杯で、未解決事件など過去の事件はなかなか取り上げることができません。しかし『ACTION』で取り扱ったことで、県境に未解決事件が多いことや、DNA鑑定の問題、時効という問題など、様々な問題が浮かび上がってきました。動いたことで見えなかった部分が浮かび上がってくるというのは、ある意味、成果だと思います。さらに今までのテレビは、一方通行で伝えることが多く、報道においても視聴者に対して一方通行的に伝えておしまい、という形が多かったように見受けられます。しかし『ACTION』では、番組HPを通じて、制作者・記者と視聴者との双方向性もあり、テーマの継続性もあり、〝提言する報道、行動する報道〟という新しい形が生まれつつあると感じています。「取材・調査の結果、僕らはこう提言しますけど、視聴者のみなさんはどう思われますか?」と。 この番組制作を通じて、まだまだテレビには大きな可能性があると再認識できました。 


─活字、インターネット、映像と、それぞれの媒体ごとによさがあり、独自の報道というのがあるのでしょうか。

杉本 : 映像にはありのままを映し出す力がありますよね。ACTION×報道特捜プロジェクトで伝えましたが、成分調査によってリサイクル材が使われていないと判明したハンガーを持って、担当のリサイクル室長の元を訪ねたことがありました。リサイクルされていないと詰問しても、コメントはなかったのですが、「言葉がなくショックを受けている」姿はしっかりと映りました。それは映像を持つテレビメディアだからこそ収められたもので、事実を如実に理解させるものでした。
 

千葉 : インターネットが存在感を増す中、テレビに対して危機感を持つ人が関係者内でも多くいます。そのなか、開局55年という節目で、こうした新しい取り組みを行えたのはよかったと思いますね。
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番組data
番組名 ACTION 日本を動かすプロジェクト ジャンル ニュース・報道
放送局 日本テレビ放送網(日本テレビ系)
放送日時 放送日により放送時間がことなる
番組URL http://www.ntv.co.jp/action/
主なスタッフ チーフプロデューサー・杉本敏也
プロデューサー・千葉知紀(敬称略)
【参加部署】
NEWSリアルタイム、NEWS ZERO,真相報道バンキシャ、報道特捜プロジェクト、ウェークアップ!ぷらす(讀賣テレビ)、政治部、経済部、社会部、外報部、
映像取材部、NNN各局
スタッフ数 約500人
主な出演者 福澤朗、菊川怜、村尾信尚、小林麻央、笛吹雅子、近野宏明、
井田由美、矢島学、辛坊治郎(敬称略)
放送開始日 2008年1月6日から1年間のキャンペーン報道

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