今では、こども幼児番組のスタンダードとなっている短いコーナーによる構成も。「2歳児の集中力は2分30秒までしか続かない」から

おかあさんといっしょ

『おかあさんといっしょ』とは……1959年放送開始、現代の幼児番組のルーツといえる老舗番組。「うた」「たいそう」「人形劇」の3本柱を中心に、短いコーナーをたたみかけるように構成する。これは児童心理学に則ったものだとか。うたのお兄さんお姉さん、たいそうのお兄さんお姉さんなどの、いわゆるパーソナリティは子どもたちはおろかお母さんたちにも人気。来年の50周年に向けて、大きな変革が訪れるか!? 

1959年「母と子が一緒に楽しむエンターテインメント番組」としてスタート。純粋な幼児番組ではなかったのだ。1966年から「うた」「たいそう」「人形劇」が一体化、そして70年代に改革が訪れる。それまで4〜5歳だった想定視聴者層が、幼稚園就園率の普及で2~3歳に引き下げられ、1979年に子どもの研究者たちと「テレビは幼児に何ができるのか」をテーマに「2歳児テレビ研究会(2歳研)」を立ち上げ、番組の調査研究を開始。その結果「2歳児の集中力は2分30秒までしか続かない」ということが判った。これにより、短いコーナーをたてつづけに繰り出して構成する現在の形が誕生したという。これは今日でも、幼児番組のスタンダードとされていて……。
古屋氏が初めて『おかあさんといっしょ』に関わったのは、いまから19年前。ちょうど番組開始30周年のタイミングだった。 


—担当が決まったとき、プレッシャーや覚悟みたいなものはありましたか?

僕は平成元年の入局なんですが、担当することになったのは入局して2年目ごろ。最初の1年間はもう少し対象年齢の高いドキュメンタリー等を担当していて、それがどんどん面白くなっていたんです。その後、まったく種類の異なる幼児班に異動になったので、むしろ“嫌だなぁ”っていうのが正直な気持ちでした。でも、初めてスタジオに行った時、子どもたちがキャラクターたちに抱きついて喜んでいるのを目の前で見て、気持ちが変わりました。 
 

—何か「守るべきもの」を伝えられたりしましたか?

明文化して“これを”というものはとくになかったですね。やっていくうちにだんだんわかってくるんです。『おかあさんといっしょ』って、実はものすごくごった煮の番組なんです。いろいろな要素が入っている。『おかあさんといっしょ』は、始まった当初は他に幼児番組がなかったので、なんでも取り入れた。ものすごく間口が広いんですね。ですから、ひとくくりのテーマとしていえるのは“情操教育”“子どもによいものを与えよう”という大まかなものなのかもしれません。あとはなんでも入ってしまう懐の深い番組っていえるかな。各担当者が面白いと思ったものを入れていける。


—短いコーナーを積み重ねていく構成は、『おかあさんといっしょ』が始めたものでしょうか?

そうですね。基本的には70年代に築いたスタイルが今に続いています。それ以前/以降では、幼児番組そのもののあり方がずいぶん変わったんじゃないでしょうか。70年代までは学校放送はありましたが、純粋に在宅の幼児を対象にした番組はほとんどなかった。『おかあさんといっしょ』が始めた短いコーナーを積み重ねていくスタイルは、当時目新しかったようです。それに「パジャマでおじゃま」などのように一般の家庭の子どもをロケしたコーナーも初めてではないでしょうか。それがいつの間にかスタンダードとして認知され、それ以降に始まった幼児番組はこの形を踏襲した。きっとこのやり方が理にかなっているからなんでしょうね。


—そうしたさまざまなコーナーがあり、さらに月曜から土曜日まで毎日25分の番組を作ることって大変ですよね。どのような態勢になっているんでしょうか?

大きく分けると人形劇で1チーム、歌を作るチームでもう1チーム。他にも人員は重複していますが、アニメやロケコーナー等の各コーナーを作るチームがあります。そうしてバラバラに出来たコーナーが、子どもを入れたスタジオ収録で縦軸に貫かれる形ですね。
 

—スタジオ収録は、どうような形で進行しますか?

子どもを入れて収録をしながら25分の番組が現場で出来上がるんですね。テレビが始まった頃ってそういう作り方をしていたと思うんですが。現場で子どもが歌って、その間に次のセットの準備をしてVTRを流してみんなで観て、その間に次のコーナーの準備をして……。子どもたちにしてみれば家で番組を観ているのと同じ25分間をスタジオで過ごすわけです。おにいさんおねえさんは事前に内容のリハーサルは済ませています。当日は技術的なリハーサル。そして、45人の子どもたちを連れてきて、お兄さんとお姉さんと一緒に歌ったり体操の練習をして、スタジオである程度の緊張を解くわけですね。子どもたちはみんな一般公募ですから、スタジオは初めてだし、親と離れるのも初めてかもしれません。収録の空気に馴染んでもらったところで、『ここから本番行きます』と。そこから25分で終わりですね。
 

—NHK放送センターの入口でたくさんの親子連れを見かけます。

僕らとしてはあの時点から収録が始まっていると考えています。あそこに、うたのお兄さんとお姉さんが直接迎えに来て、練習に入っていくわけです。全体の進行は、うたのお兄さんとお姉さんがやりつつ、“子ども係”というスタッフが泣いちゃう子とか走り回っちゃう子に対応します。スタッフ一丸ですよ(笑)。技術さんも小道具の人も子どもをあやすのを手伝ってくれる。カメラさんもカメラを振ってる脇で、手を振ってくれる。みんな、この仕事をやってるうちに子どもが好きになってくるんですね。
 

—スタッフは何人ぐらいですか?

1回の収録でのスタッフは、技術さんを交えると20数名ぐらいかな……といっても、各コーナーごとにそれぞれスタッフがいるので、どこまでをカウントするかはむずかしいですね。カメラは4台、子ども係は1回あたり3名です。収録は1日2本ですね。
 

—毎日毎日、ほぼ生放送のような収録で子どもを相手にするのは大変ではないですか?

子供達は、毎日テレビで観ているうたのお兄さんとお姉さんが出てきて、テレビと同じことが起こるから結構集中してくれます。それだけでなく、飽きさせない、泣かさない、50年のノウハウがあるんですね。
 

—そのノウハウとは?

細かい話ですが、子どもたちが我に返る前に次々と次のことを繰り出してゆく。歌を歌ったら、すぐに隣でうたのお兄さんがしゃべり出したり、体操の直後にうまいタイミングでスプーを呼んできて注目させたり。また、移動や整列を練習するとそれだけで疲れてしまいますから、最小限ですむように段取りを工夫したり。セットでは“遊ぶのはこの中ですよ”っていうことを伝わりやすく、その部分だけジュータンにしてあったり。カメラの手前側では、うたのお兄さんとお姉さんだけじゃなく、手の空いたスタッフも全員……鏡張りで体操していたり。モニターは、子どもたちが見るVTRのときには当然子どもたちの方に向けてますが、彼らが映っているときは、みんながモニターを見ちゃうので裏返しておくとか。各部署が何十年もの間蓄積してきたノウハウを引き継いで実践し、それぞれ役割をうまく果たして円滑に進んでいる。“子どもを入れて、とてもそんなスピードじゃ無理!”ってよく言われるんですが、準備や練習をして収録をして、最後に記念写真を撮って、だいたい1本1時間。
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番組data
番組名 おかあさんといっしょ ジャンル 情報
放送局 日本放送協会
放送日時 教育テレビ 月~土  8時35分から9時00分
(再放送) 月~金    16時20分から16時45分
土       17時00分から17時25分
番組URL http://www.nhk.or.jp/kids/program/okaasan.html
主なスタッフ P・古屋光昭(敬称略) スタッフ数 約20名
主な出演者 11代目うたのお兄さん・横山だいすけ、20代目うたのお姉さん・三谷たくみ
体操のお兄さん・小林よしひさ、“ゴッチャ!”のお姉さん・いとうまゆ(敬称略)
放送開始日 1959年10月から(2009年10月で50周年)

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