番組のコンセプトは、3日後の真相

テポドンとノドンとスカッドミサイルのサイズの差を模型で観せたり、誘拐犯が潜伏していたマンションの1室の実物大セットを組み臨場感たっぷりに報道する。せっかくの独自取材とて、伝わらなければ何の意味もない。「どこよりも取材をする番組」は、取材結果をきわめてわかりやすくビジュアル化して解説する。それが“バンキシャ!”のもうひとつの大きな魅力である。


―模型やCGを多用した解説は、当初からのアイデアですか?


最初から、映像がテレビの武器だということを意識していました。「テレビ=映像」って当たり前のように思えますけど、意外と報道の世界って、「言葉」の世界なんですよ。テレビの報道局って、他のテレビ局だけではなく、新聞社とも競っているようなところがあるんです。僕は昔、警視庁記者クラブにいましたが、たとえばヨソの社が「明日犯人逮捕」ってスクープする。日本テレビ的には負けになるわけですけど、その戦う相手はフジテレビとかだけじゃなくて、朝日新聞だったり読売新聞だったりする可能性もあるんですよ。そういう土壌があるから、ぼくら報道の人間ってすごく“活字的”なところがあるんです。だからバンキシャでは、テレビの特徴は映像だということを再確認したいと思ったんです。当初から「映像で何かがわかる」という部分を突き詰めていきたいと思ってました。


 ―とりわけ北朝鮮問題にこだわっていますね。

番組がスタートした2002年10月っていうのは、5人の拉致被害者のみなさんが帰国されたときです。そのタイミングなので、やはり最初から主たるテーマになっていますね。実は第1回の放送も北朝鮮でした。僕たちがやったのは衛星写真を大々的に使ったこと。当時も、ほそぼそとは使われていたんですが、それを全面的に使おうと。北朝鮮っていう国は、今でこそ内部映像が流出してくるようになりましたけど、当時はまったくわかんない国だったんです。それを唯一見られる手段が衛星写真。それを入手できたんで、部屋の大きさぐらいに大きく引き伸ばしたんです。そうやって細かく解剖することで、北朝鮮という国が何かわからないかな、って発想して。写真をつぶさに見ながら……“ここの川で墓が壊れて遺骨が失われたって言ってるけど、洪水の跡はあるか?”とか、いろんなことを映像から発見し、北朝鮮側の説明に対し疑問を突きつけるのが、“バンキシャ!”のスタートだったんです。


―まさしく「百聞は一見にしかず」。

映像が僕らの武器なんだということを自覚してましたから。実験をやり、模型を作り、画で観て、肌で体感することで五感が刺激されるような伝え方を生み出すべく努力してきました。口はばったい言い方ですが、ぼくらの手法はものすごくマネされたと思っています(笑)。ここ数年、このスタイルで真相に迫って行くというやり方は広まった感じがします。ありがたくもあり、歯がゆくもあり(笑)。僕らの番組は、まず最初に、扱うテーマのキモがどこにあるのかを考えること。そしてビジュアル的に観せる発想。さらにはそれを実現する粘着質ともいえるぐらいの取材。最後に編集、つまり視聴者のみなさんにわかりやすくプレゼンテーションする技術。ホントに最後の最後の最後までこだわってますよ。“バンキシャ!”の場合、VTRの尺が長いですから、普通は前の晩ぐらいに完成してないといけないんでしょうけど、直前まで編集してます。本番に間に合わなくてニュースの順番を替えることもよく……でもないな(笑)、ときどきあります。1時間の番組中3本目のVTRは6時30分ぐらいに始まるわけですが、6時29分ぐらいに完成品が届いたり。もちろん原稿にもこだわってます。ギリギリまで、一言一句まで、ああでもないこうでもないって頭をひねってるし。構成作家さんが書かれる番組もありますが、うちでは取材した自分たちが責任を持って書きます。


―取材に力が入っている分、その観せ方にも全力を注ぐと。

それだけの思いを込めて取材しても、ネタを変えることがあります。日曜日、放送直前に起きたことでもみんなが知らなきゃいけないと思うことは、がんばって取り入れます。たとえばライブドアの堀江貴文被告が逮捕されたときは、「今の日本を象徴する出来事だ」と思ったので、多角的に、番組1時間全部使ってやりました。 スペースシャトルが落ちたときもそうだし、新潟の地震は土曜の夜に起きたんですが、その時点までに取材したものを全部捨てました。新潟の地震の時は、そこまでやってる日曜日の報道・情報系の番組は、なかったですね。もちろん努力して取材したことに対する思いはありますけど、うちの番組は報道番組ですから、みなさんに伝えなきゃいけないこと、知りたいことを優先しなきゃいけないと思うので。


―「ウチの番組」になってますけど(笑)、今は部署が変わられてますね。離れてみて気づいたことはありますか?

今週どうしよう、今年はどうしようっていうスパンで物事考えてやってきたけど、気づいてみたら、わりと大きい番組に育っていてくれたなあという印象があります。もともと“バンキシャ!”のスタッフは報道未経験者も多くて、あちこちから集まって作り始めたんです。慣れないけど「新しい番組作るぞ」という熱意で、イチから勉強して実践してきた。シミュレーション番組を作る余裕もなかったし。そういう未経験者たちが成長して今ではリーダーになって、いいチームワークを作り出してると思います。やってて一番うれしいのは、「毎週観てるよ」って言ってくれる方が多いこと。当たり前だと思われるかもしれないんですが、かつて10年間デイリーのニュース番組をやってても、あんまりそういう暖かい言葉をかけていただいたことがなくって(笑)。そういう、多くの人に観ていただけてるという自負と責任感をもってみんな仕事をしているんです。いいチームができたなと。頼もしく思って卒業できましたね。


(小杉文彦=取材)

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番組data
番組名 真相報道バンキシャ! ジャンル ニュース・報道
放送局 日本テレビ放送網(日本テレビ系)
放送日時 毎週日曜日 18時から18時54分
番組URL http://www.ntv.co.jp/bankisha/index.html
主なスタッフ 総合演出(2006年6月迄)・柴崎朋樹(敬称略) スタッフ数  
主な出演者 福澤朗、菊川怜、河上和雄、丸岡いずみ (敬称略)
放送開始日 2002年10月6日

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