時代が求めた解かりやすいニュースのあり方。その原点は全てこの番組から始まった。

週刊こどもニュース

『週刊こどもニュース』とは

ありとあらゆる部分が“子ども次第”。彼らによって、原稿も変われば構成も、編集も変わる。そのために“修羅場”(というおおよそ、子どもには似つかわしくない状況)になることもしばしば。でも当たり前なのだ。その、ひどく面倒な工程を踏み越えていくことで初めてこどもニュースという番組は成立するのだから。


——子どもたちにわかるようにする方法とは、具体的にどういうやり方ですか?

「週刊こどもニュース」は、放送前日の金曜日収録の前にリハーサルをします。このときに、出演者の子どもたちに「もし、わからないところがあったら全部言って欲しい」と伝えたうえで、フェイス・トゥ・フェイスでニュース原稿を読み聞かせるんです。こちらが読んでるときの子どもたちのリアクションで表現を変えます。その場で書き直すんですね。これを何度も繰り返す。 


——そのリハーサルには、どのくらいの時間をかけているんですか?


せいぜい2時間から2時間半が限界ですね。子どもたちの集中力も切れてくるので。この間は「小沢幹事長」がわからなくて(笑)。同席していたあるスタッフが「カンジって、ホラ、宴会のときにお金集める人いるでしょ?」みたいな余計な説明し始めたりして。子どもは宴会知りませんよね、それで大人の集団はウーンって考え込むわけです。そのときは結局「民主党のリーダーの1人」ということで、子どもたちにオッケーをもらいました。 


——他にモニターにあたるような存在はいないんですか?


いないですね。彼らがオッケーしてくれるまでやるんです。でも、子どもたちも「知らない」と答えるのに勇気がいるんです。知識がある方がカッコいいと思うのは当然ですものね。だからきちんと「知らない」「わからない」と言ってくれたら、こちらも「ありがとう!おかげでいい原稿になったよ!」ってきちんと言う。どんどん質問をしてくれる土壌を作らないと、彼らの質問がないと、私たちの番組は一般の子たちが受け入れてくれる番組にならないんです。
何年かに一度、出演者の子どもたちのオーディションを行いますが、「かわいい子」とか「面白い子」はいっぱいいます。「賢い子」もいっぱいいます。それよりも何よりも私たちが重視するのは「わからないことを、わからないとその場で言える子」なんです。すごく賢い子が「わかる・わからない」の基準になると、見ている人たちもついてこられなくなりますから。 


——収録前日に子どもたちにオッケーをもらわないと、ニュース原稿もナレーションも確定しないことのなるわけですか?


そうなんです。説明が足りなければ長くすることになります。となると、映像も変わりますよね。そこからもう1度編集をします。この部分の手を抜いたら、こどもニュースという番組はおしまいじゃないでしょうか。 


——1週間にあった大きなニュースを解説する「ニュース丸わかり」のコーナーで、立体の模型を使ってますね。なぜボードではなくわざわざ模型でなんですか?
 
 
ひとつには“概念”を理解してほしいから。たとえばJALの経営破たんの話をしたときですが、人件費や不採算路線を、物理的な重荷として模型の飛行機の翼の上にどんどん載せたんです。すると「重くて飛べないよね」っていうのが、感覚的にわかります。「でも、この重荷を下ろせば模型の説明飛べるでしょ」って。そういうわかりやすいメッセージに落とし込むための模型です。ボードだと、仕組みは理解できても、イメージとして心に残りにくいですから。それに、番組中のどこか1か所ででも子どもたちをアッと言わせたいんですよね(笑)。そこを支えているのは、『おかあさんといっしょ』『いないいないばあ』などで幼児・こども番組の美術を担当している熟練のスタッフたちです。 
   


——スタッフにとって子どもたちはライバルのような、友達のような不思議な存在ですね。


アッと言わせるというのは、正直、とても大切なことだと思います。子どもを子どもだと思って甘くみていると絶対にダメなんですね。制作側には、彼らと対等に付き合うことができて、スムースに情報をやりとりできる力がないといけないと思っています。見せ方では、子どもが「えーそうなんだ!」っていうところを狙うように。そこを把握するのが上手なディレクターは説得力が高いですね。
収録前日に子どもたちに見せて「はーそうなんだー、おもしろーい」って言ったらディレクターはうれしそうに『しめたーっ!』って思ってますよ(笑)。その一方で「……ふ~ん……」っていうリアクションしかないときも、なきにしもあらず。そういうときはただただ敗北感ですね(笑)。 


——ニュース番組でありながら家族という設定で、キャスターではなく“お父さん”が解説するスタイルのねらいは?
お父さんが説明
“学校の先生が教える”という形にはしたくなかったんです。世の中に起こっていることを上から教えるのではなく、親子の会話の中で、生活につなげたままで伝えたい。たとえば「株価が下がっている」という話題があったとします。それだけ伝えても、子どもたちの生活にはつながりませんよね。株価が下がると景気が悪くなって、景気が悪くなるとお父さんの給料も下がって大変になるよね……っていうところまで掘って、それぞれの生活に落とし込みたいんです。なるべく生活につながる形でニュースを紹介できる場として家庭になっているわけですね。 
  



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番組data
番組名 週刊こどもニュース ジャンル ニュース・報道
放送局 日本放送協会
放送日時 日曜日 8時05分から8時35分(関西地方は8時30分から9時)
番組URL http://www.nhk.or.jp/kdns/
主なスタッフ チーフ・プロデューサー・米村裕子(敬称略)2010年5月時点 スタッフ数 11人
主な出演者  お父さん・岩本裕、お母さん・光浦靖子、
長男・古田大虎、次男・萩原利久、長女・柳下花恋、
近所のお兄さん・ハイキングウォーキング
放送開始日 1994年4月10日から(2010年4月で16年)

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