番組のキャッチにもなっている締めくくりの場。週末の昼時に心地いい海風にあたりながら、こんなところでご飯が食べられたならいいなぁと思ってしまうような夢のような空間。

太一×ケンタロウ 男子ごはん

「太一×ケンタロウ 男子ごはん」とは……

日曜のお昼という感覚は意識していたものの、自由で心地よくてまったりとした空気感は徐々に生まれてきたもののようだ。意図したことではなかったというけれど、慣れ親しんだ番組の作り方を一度チャラにすることで、そうなったのは間違いない。出演者・スタッフ間の希有な“チーム感”もまたしかり。番組は3年目に突入している。


——1回の収録にはどれくらいの時間がかかりますか? 男子ごはん外プレイ

だいたい2時間。隔週で2本撮りです。四季の太陽の関係もありますが、あのお昼っぽい雰囲気を出したいので、スタートは朝10時30分から。1本撮って休憩を入れて、2本目は13時半~15時半ぐらいには終わります。というのも、最後に外のテラスで食べますから。あのパートが夜になっちゃうのはあり得ません。ただ、雨が降ったりしても、別に隠したりしません。見せてしまいます。たとえば梅雨の時期だったら普通に雨は降ってるわけですし、それを部屋から見ながら2人がダベってる姿も絵にはなりますしね。 
  

——100回やってきて、印象深かった回はありますか?

最初の正月にナインティナインの岡村さんがゲストで来たときですね。本人が番組をよく見ていて、太一くん経由で「出られないか」と。岡村さんと太一くんが仲良しなのと、ケンタロウさんがタレントではないということなんでしょうかね……テレビでは見たことのない岡村さんになっていました。岡村さんって、どの番組でもメインでどんどん笑いを取りにいくポジションなんだけど、この番組では「3人目のレギュラーになりたい」と思って毎回挑んでくる。だけど、2人もスタッフも頑なに「まだ無理だ」と拒絶する(笑)。番組の空気感を、共有しながら出演してくれているのは非常に貴重だと思いますね。

——なるほど。

あとは年1回、秋の海外ロケ。最初は香港、2年目は韓国に行きました。僕らは美味しい店とか流行の店を紹介するような番組じゃないわけです。「海外に行く意味ってなんだろう?」って話してたとき、ケンタロウさんが「韓国料理のことはだいたい知ってるから、一般の家庭料理を習ってみたい」って言ったんです。やっぱりテレビの人間の発想とちょっと違うんですよね。海外ロケなら、やっぱりちょっと派手な要素がほしいところじゃないですか、でもケンタロウさんは違う。「あ、そういうやり方もあるのか!?」と。こういう発想が番組のカラーになってるのは間違いありません。

——この番組作りに関わって、松澤さん自身何か変わった点はありますか?

テレビの人間として、ある形にとらわれていたことを自覚しましたね。番組始まる前にケンタロウさんに会いに行って、「すごくシンプルなものにしたい」という話を聞いて。「ゲストはいらない」って、ケンタロウさんも太一くんも言ったんです。あまり情報も入れず、スーパーもできるだけない方がいいと。「2人のやりとりだけで、ナレーションもなにもない番組」みたいなことを言ってた覚えがあります。意訳すると「素材感を重視し、現場の雰囲気をあんまり加工しない番組」。でも僕らの意識としては、現場で撮るものはあくまでも素材。それに、スーパーとかCGとか音楽を加えることによって番組を加工する。むしろ何も加えないのが一番むずかしいんです。でもどこまで番組をシンプルにして見せていって成立するか。内容面も、数字的にも、番組の個性になり得るか。何を残して何をそぎ落としていくか。自分が経験の中で凝り固まっていた部分を、この番組に関わることでほぐされた思いはありますね。そして1個のものを掘り下げていくことに気がつきました。結果的に定着してある程度の認知をいただきましたが、決して勝算があったわけではなく、もしなんの話題にもなっていなければ、単なる自己満足で終わっていたかもしれませんね。

——丸2年、評価もありながらもなお不安だったりするんですか?

 いつ「もう飽きた」っていう話にならないとも限らないですし、太一くんは芸能界の人ですけど、ケンタロウさんはタレントじゃなりません。出たがり料理人でもありません。むしろちょっとアンチテレビ的ですらある(笑)。われわれもタレント料理人みたいに扱うつもりはないし、信じてやってもらっていますが…。シンプルな番組ですから、彼ら2人のリスペクトとテンションが続く限りは『男子ごはん』であり続けるとは思います。でも、そうでなければきっと終わるんだろうなって思いますね…解散。いわばバンドみたいな感じですね(笑)。

——本を作ってよかったと思いますか?

番組の認知が上がりました(笑)。いろんな人から声をかけてもらえるようになりましたし。この4月に2冊目が出ました。1年間のメニューを全部掲載しているんですが、編集者の方もスタジオに何度も来てくれて。こういう二次的なプロダクトって、素材だけ渡して編集の方におまかせするケースが多いんですけど、こういう番組ですから、単なるレシピ集には止まらず、料理&トークの1年間の総集編。どこのトークを使うかとか、そういうところも、2人を含めて細かく相談しながら。でも基本的には料理の本だから、キッチンに置いて読めるよう、重さとか紙質とかにもすごくこだわって作りました。

——すばらしい!

……よくない点があるとすれば、2年目は本を出すことを意識したところかな。1冊目、つまり1年目の放送ではケンタロウさんのほとんどの定番が紹介されてるわけです。で、2年目に入ってメニューを決めるときに、どうせ本になるなら一年目と違う変化球を入れていきたいって思っちゃうわけですね。その分、ちょっとまとまりすぎたかなとは思っています。

——この番組の空気なら、同じメニューが出ていてもいい気がしますけど。

 たしかに(笑)。まったく同じじゃさすがにダメでしょうけど、たとえば「カレーは今年2回やったから、次はホワイトシチューにしよう」とか考えることはないんですよね。無邪気に、もう1回カレーをやってしまうのがいいかもしれません。本は売れてほしいけど、本のために番組やってるんじゃないし。番組の無邪気さを損なわないように。

——今後の課題はありますか?

春に本が出て、夏にキャンプをやって、秋に海外の料理修行、正月に岡村さんが来る。見てくださる方の生活に根ざして、「今年の夏は『男子ごはん』、キャンプどこ行くのかな男子ごはん左から」「もうそろそろ、海外ロケじゃない?」とか「岡村さんくるよね、何作るのかな」みたいなことを、季節の移り変わりとともに1年間楽しみにしてもらえたら。お客さんの前でやる“ライブ”もそのひとつ。毎年やるかどうかは決まってませんけど。ですので、こういうイベントカレンダーは少しずつ増やしていけたらいいですね。あと僕個人で思ってるのは、子どもたちと料理を作る回。子どもたちは斬新な発想を持ってますが、未知のものってなかなか食べないんですよね。「でも実はこの料理って、こういう風に作るからおいしいんだよ」っていうことを、2人の料理を通して自然に遊びながらわかるようなこともできればいいですね。 

——うまく通常回のテンションを維持しつつ、差し挟んでくる感じですね。

裾野を広げつつ、よりスタンダードな番組になりたいと思っています。2人も言ってますが、長く続けていきたいんです。『3分クッキング』とか『きょうの料理』みたいな料理番組のひとつにいつの日か数えられたらなぁ。実は、数字的には普通の回が安定していて、海外ロケとかって意外によくないんです。あの雰囲気が好きで見てる人にとっては「いつものでいいじゃん!」ってことなんでしょうけど、まぁそう言わずに(笑)。今でも不安なことはありますが、シンプルに今の形を続けていこうと思います。2人でやっていくことがレギュラーで、そこに何か企画を載せるのがイレギュラー。2人のお互いへの興味と距離感とで成り立ってる番組ですからね。



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番組data
番組名 太一×ケンタロウ 男子ごはん ジャンル バラエティ・音楽
放送局 テレビ東京(テレビ東京系)
放送日時 毎週日曜 11時25分から11時55分
番組URL http://www.tv-tokyo.co.jp/danshigohan/
主なスタッフ プロデューサー・松澤潤、演出・掛水伸一、
ディレクター・中野貴文(敬称略)
スタッフ数 約10人
主な出演者 食べる天才・国分太一、作る天才・ケンタロウ(敬称略)
放送開始日 2008年4月20日

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