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Jリーグ中継

『Jリーグ中継』とは……

地域密着型でチームを運営し、地元のファンを獲得していくJリーグ。いまやチーム数は20を超え、ますます成長しつづけているが、クラブの地元サポーターを大切にする姿勢は、NHKの基本理念とも通じていた。


─『Jリーグ中継』ですが、リーグ開幕からスタートしていますね。

江部 「極論してしまうと、リーグ発足前、さらにいうと、NHKと呼ばれる前の日本放送協会時代から、日本のサッカー競技を番組として取り扱ってきました」


─『Jリーグ中継』は、他のスポーツ中継番組と何か違いを感じる点はありますか?

相川 「NHKで一年を通して中継している国内プロスポーツは、おもに野球、相撲、そしてサッカーの3つ。その中でサッカーは、プロだけでなくアマチュアの大会も広く中継されているのが特徴です。サッカーは、国内トップリーグのJ1でなくても、J2や大学生から日本代表が選ばれることがあります。年代別の代表という意味では、高校生やユースの大会も日本代表につながります。どんな小さな大会でも、世界へつながる視野が必要というのは、サッカーならではかもしれません。海外とのつながりという点では、野球同様、サッカーも日本人が海外に挑戦するのが当たり前の時代になりました。Jリーグでも、海外の有名選手が日本にやってくるだけでなく、日本から世界へ飛び立つ選手が増えています。最近は、外国人選手が日本で活躍の場を得て、また違う国へ求められて移籍するケースも多い。やがて世界で活躍する選手がいるんだという視点を持って、Jリーグ中継を観戦する人は多いと思います」

江部 「日本のスポーツ選手が世界を舞台にするようになったからこそ、国内での動向や盛り上がりを、しっかり伝えていきたいと考えています。一部には直接海外のプロリーグに参戦する選手もいますが、基本的には、やはり国内で実績を積まないといけませんから。そのひとつひとつの過程を、しっかりと視聴者の皆様にお届けしていきたいと思っています。またJリーグに関しては、特にNHKの理念に近い部分があるんです。NHKは全国47都道府県すべてに放送局があり、地域の身近な放送局として業務に取り組んでいて、Jリーグも地域密着を目指して発展してきた経緯があります。地上波による全国向けの放送だけでなく、各地域単位でホームチームの試合を放送したり、ニュースのローカル枠でも取り上げたりと、地域に根ざした情報を提供できるのが、Jリーグの強みのひとつです」

相川 「例えば今年J1に昇格したモンテディオ山形というチームがあります。成績的には苦戦している中でも、地元で放送すると、視聴率が20%近くにもなる。数字的には、優勝争いをしているチームの試合の数倍の注目度なんですね。BSで全国向けに中継しながら、同時にローカル地上波で別の試合を中継するというのは、視聴者をNHK同士で奪い合うことでもあり、戦略的によくはないかもしれません。しかし、地元の視聴者にとってはホームチームの試合を見たいわけですし、これがよしとされているんです。全国へ放送すべき試合がある一方で、地元へ向けて放送するからこそ価値のある試合もある。いわばサッカーは、インターナショナルソフト化とローカルソフト化という、一見相反する2つの方向性をもったスポーツなんですよ」


─求める解説者像やキャスティングの理由は?

相川 「さまざまな要因が絡みますし、私たちの考えだけで決まるわけではありません。プレイヤーとしての個性と、放送席は別の世界の話になりますし。ただ、現役時代に自身がやっていたポジションに限らず、全般的に広い視野を持っている解説者は、試合を多角的に見て、展開にあったコメントをしてもらえることが多いですね。指導歴がある方だと、監督・コーチ目線のお話にも説得力があります。また、ワールドカップや海外の試合を中継する機会もあるので、世界で戦った経験がある解説者のお話は貴重です。 重要なのはNHKサッカー中継全体のバランスで、現役時代のポジション、年代、考え方など、さまざまな点で解説者のバランスがとれるように心がけています」


─実況アナウンサーに関しては?

相川 「制作側から注文をつけることはあまりありません。局のイメージで、比較的淡々と、冷静に実況する人が多いように思われていますが、テンションの高いタイプの人もいますし、それぞれです。視聴者の意見も伺いながら、多くの実況者が参加することで、NHKのイメージというものができると思っていて、NHKだから落ち着いてやるべきという発想ではないんです。ちなみに、先ほどサッカーのローカル性という話をしましたが、各地域で地元の試合を中継することは、アナウンサーの経験を積む場が増えるということでもあります。特にローカル放送の場合は、ほとんどの場合、地元局の若いアナウンサーが実況を担当します。地元チームのことをよく知っていますから。全国放送でも、彼らにピッチリポーターになってもらったり、東京の経験豊富なアナウンサーや制作陣と交流する機会が勉強になったりします。中継機会が増えることは、放送の質の向上につながると考えています」


─なぜ、あえて『Jリーグ中継』というそのままの名称を番組タイトルに使用しているんでしょうか?

江部 「スポーツ中継番組のタイトルなので、わかりやすさを大切にしています。全国の老若男女の方々に見ていただいているつもりですし、興味がない人たちにも伝わりやすいように考えています。現在は、Jリーグの全試合を放送している有料の衛星放送もありますので、熱烈なサポーターはそちらを選択するのかもしれません。試合数は劣りますが、『Jリーグ中継』は地上波で全国区に試合を放送している希少な番組ですから、サッカー競技の裾野を広げるような期待も受けているのだと思っています」





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番組data
番組名 Jリーグ中継 ジャンル スポーツ
放送局 日本放送協会
放送日時 総合テレビ、BS1
番組URL http://www.nhk.or.jp/sports2/soccer/soccer.html
主なスタッフ プロデューサー・江部賢治、
ディレクター・相川直人(敬称略)
スタッフ数 1試合 約30人
主な出演者 解説者・加茂周、山本昌邦、木村和司、早野宏史、原博実、
小島伸幸、宮澤ミシェル、山野孝義(敬称略)
放送開始日 1993年4月 「Jリーグ中継」開始

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