1961年から数え48年を経た今も進化し続けるスポーツ情報番組。スタリッシュな美術セットは時流に合わせた結果の産物。

SPORT

『SPORT』とは……

他局よりも遅い時間からスタートする『SPORT』は、当日の試合結果という情報の速報性に不利がある。しかし逆にみれば、他局よりも丁寧に編集できる時間が取れるという利点に。みずからの立ち位置を見極めた上で、さまざまな戦略を組み立てている。


─各局の中でも最も遅い時間帯になる放送になるわけですがですが、その日の最新のスポーツ情報を早く伝えるという面では不利になるわけですね。それはどう補おうと考えましたか?また、習慣的に視聴してもらうための工夫や、他局との差別化はどのようにしていますか?

平日でいえば、どの局よりも遅い時間からのスタートになってしまい、速報性といった側面ではデメリットが大きいんです。しかし一方では、放送時間が遅いだけ編集時間を多く取れるというメリットでもあります。ですので、他局では伝えきれなかった試合結果や選手インタビューなどもしっかり放送できます。このプラスアルファの要素を、かなり意識して制作していますね。また民放では、月曜から日曜までスポーツニュース枠を持っているのはフジテレビだけなんですが、視聴者に飽きさせない工夫として、2008年から曜日特性を設けました。月曜日は海外サッカー、火曜日はマイナースポーツ……といったように。毎日の放送のなかに変化をつけられますし、野球やJリーグの試合がない日もありますので、そのときに尺を埋めやすくする意図もあります。ただ、曜日ごとにイメージがバラバラにならないよう、演出の統一やキャスターの三宅や平井が毎日出演するなどして、世界観を保つようにしています。 作り手側としては、『SPORT』はスポーツニュース番組でもありますが、どちらかというとスポーツエンターテインメントに近いと考えているんです。先ほどもお話しましたが、ストレートのニュースを並べるだけでなく、スポーツを通じて楽しさを伝えていこうという部分が大きいので。


─ 毎日のように出てくる大量のスポーツ情報を番組にまとめてゆくために、どのように体制で臨んでいますか?

プロデューサーの僕と編集長がいて、曜日ごとにPDを長とするスタッフたちがいるという構造で、制作スタッフは全部で40~50名くらいでしょうか。PDの熱意や意地という部分は積極的に評価するようにしていて、曜日ごとに1~2ケ月先までの企画を出しあい、全体を見渡してすり合わせていきます。しかし、絶えずさまざまなスポーツを取り上げればいいというわけでなく、やはり露出のタイミングというものも大事です。冬の競技の選手を夏に登場させてもニュースにならないですし、視聴者のほうも興味を起こしにくい。同じ企画でも、いつ放送するかは、一番気を使うところですね。


─ 日ごとのスポーツニュースと曜日別企画はどのような配分で考え構成されているんですか。

そうです。野球やサッカーなど、主要スポーツの年間スケジュールは事前にわかりますから、ある程度ニュースの枠を想定できます。その一方でハンドボールのように、予想していた以上に盛り上がってきたスポーツがあれば、随時ニュースの枠にいれるようにして。各日のニュース枠が決まった後、残りを企画で埋めていくというニュアンスですね。ただ、この2つの配分にこだわりはなくて、世界的な偉業の達成や有名選手の訃報といったニュースが飛び込めば、何日も徹夜して作った企画があっても平気でなくします。月曜日にイチローが歴史的な記録を打ち立てれば、本来は海外サッカーを特集するところでも、イチローのニュースを大きくします。要は視聴者が一番見たいモノを、さらに他局ではやらない部分までキチンと提供するということです。


─事前に用意した企画がボツになることも多いんでしょうね。

そうですね。比較的に多いのがゴルフでしょうか。注目していた選手が木・金の予選で落ちてしまったりすると、土曜日に用意していた特集企画をどうしよう?と困惑するのは、よくあることです。そうなると、なぜ彼が落ちてしまったのか?という切り口にしたり、上位にいるけど知名度が低い選手を紹介する企画にしたりということを、残された1日のうちで作り直すんです。なかには、オンエアの数時間前にボツになったということも少なくありません。その意味でも、放送時間が遅いのはメリットといえるかもしれませんね。試合結果の内容によっても構成を随時変更しているんですよ。1分の尺で考えていたものを、もう1分延ばしたり30秒削ったり。他のニュースの尺が変わることで、すでに完成していたニュース映像も、それぞれの担当に電話して編集しなおしてもらって。短いときでは、オンエアまで20分前の段階で作り直してもらうこともあります。『SPORT』は『プロ野球ニュース』時代から、生放送をずっとやってきたという強みがあり、制作者も出演者も、ギリギリの変更にも対応できる能力があります。そこは本当にプロフェッショナルですね。例えば、番組の冒頭に放送予定だった野球の試合結果がまだ終っていないとなると、「このニュースは最後に回すので別のニュースに振ってください」とだけいえば、キャスターもすぐに対応してくれますし、編集の人も1秒でも速く出せるようものすごいスピードで作業してくれます。長年の経験の賜物ですね。とても大変でありますが、楽しさを感じる部分でもあります。


─常にスピードと臨機応変さが求められるわけですね。例えばどのようなことがありましたか?

記録がかかっている野球の試合で延長戦になってしまったり、海外サッカーで日本人選手が予想以上に活躍したり。一番大変なのが、野球で優勝が決まる日ですね。優勝チームの選手や監督が各局のスポーツ番組を渡り歩きますので、あらかじめ各局でパズルを組むように出演スケジュールを申し合わせておくのですが、試合終了やビール掛けの時間がずれ込んだりすると、スケジュールが簡単に狂っていきます。例えば巨人が優勝したとして、番組冒頭は原監督へのインタビューからはじめようとしても、あと1時間しないと来なかったりするんです。そうなると、優勝が決まった試合の映像を延ばしたり、どうにか現場で選手をつかまえてみようとしたり。阿部選手からのコメントが入りそうなら、阿部選手の活躍をまとめた映像を作り、その傍らではもしかしたらの上原投手の映像も作りつつ、でもやっぱりダメだったとか。万一に備えて、いろいろな素材を用意して置くのですが、それでも現場が混乱してくると参りますね。それで急遽、小笠原選手をつかまえられたとすると、三宅アナには「小笠原選手から5分間、話を聞いてください」と投げるんです。なんとかしてくださいと。それで如才なく進行できるのは、やはり経験によるところですね。


─前身番組である『すぽると!』では、過去に巨人・松井選手や中日・中村選手のFA宣言など、数多くのスクープを取りましたね。これらは広い分野で情報を集めている総合スポーツ情報番組ならではのコミュニケーションの成果ということでしょうか?

上にいる人間から末端のディレクターまで、現場に出向き、人やモノと接するということを、とても大事にしています。遠くない場所なら、部屋でテレビを見ているより、パッと現場へいってみようという気持ちが強くて。そのほうがニュースや企画になりますし、間違いなく楽しい。絶対に企画になるか、わからなくてもいいんですよ。目に見える収穫がなくても、「そういえば、あの場に『SPORT』さんたちもいたよね」と選手に思われるだけでも、その後につながります。とにかく現場へいき、選手や競技団体とのパイプを太くして、信頼関係を築いていく。いつしか、「フジテレビさんならインタビューを受けますよ」と、特ダネの取材を受けてくれるかもしれません。それによって、僕たちの日々の努力も報われますし、モチベーションにつながっています。




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番組data
番組名 SPORT ジャンル ニュース・報道
放送局 フジテレビ(フジテレビ系)
放送日時 月曜日から木曜日 23時55分から24時35分 40分
金曜日 24時23分から25時05分 42分
土曜日 24時15分から25時05分 50分
日曜日 23時55分から24時25分 30分
番組URL http://wwwz.fujitv.co.jp/b_hp/sport/index_frame.html
主なスタッフ 編集長・窪田正利、プロデューサー・岡泰二(敬称略) スタッフ数 約50人
主な出演者 メインキャスター・三宅正治、田中大貴、平井理央、
本田朋子(敬称略)
キャスター・国分太一、水野裕子、風間八宏、
フローラン・ダバディー(敬称略)
放送開始日 1961年「きょうのプロ野球」~
1976年4月「プロ野球ニュース」~
2001年4月「感動ファクトリー・すぽると!」
2005年4月「SPORT」

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