人間の営みのすべては語学に通じている

Jブンガク

『Jブンガク』とは……

文学作品を通じ「日本らしさ」や「日本人らしさ」について、国籍も性別も年代も異なる2人が対談しながら考察する「Jブンガク」。「日本」や「美」というと、教条主義的で伝統的な色彩を帯びてしまいがちだ。しかし、この番組はそんな凝り固まった場所から、もっとも遠いところに位置している。 


──今年の3月から番組は始まりましたが、どういった経緯で誕生したんですか?

丸山 5分番組で100本放送するという制約のなか、できることを考えようという出発点から始まりました。そこから、日本人の美意識を100個取り出して、そのエッセンスを取り出せないかという案が出てきたんです。じゃあそれで行くとして、パーソナリティを誰にしようか考えたときに、爆笑問題の『東大の教養』の収録時に駆けつけてくださり、その後『英語でしゃべらナイト』のクロフネシリーズでご好評をいただいていたロバート・キャンベルさんの顔が思い浮かんだわけでして・・・。キャンベルさんは、不思議なご縁でたまたま24年前に来日され、日本のことをリスペクトされ、文学を中心に様々な文化に造詣が深い方。その方の視点を通して、日本の美意識を抽出してみたらどうだろうかと。 


──「日本の美意識」を対話形式でテーマにしようと思ったきっかけはどんなところにあったのでしょうか? 「日本の美」というと、「伝統」とか「格式」とかしゃちほこばったイメージがついて回る印象がありますが…

丸山 そもそも、この2009年の今、一体、何が日本文学なのか?という問題意識もベースにはあったんですね。ずっと以前からリービ秀雄さん、アーサー・ビナードさんなど日本人以外の方が日本語で小説や詩を書き活躍されています「日本文学」も様々な視点が交差することで、どんどん新しい可能性が生まれている。古くは、加藤周一さんの雑種文化論じゃないけれど、世界中がネットでつながっている時代では、日本人がこれが日本だと決めて外に出すより、海外の人からの視線をとりいれて、日本らしさを新しく定義していったほうが、より正解に近いんじゃないか思ったんです。僕自身は、語学番組という枠組みの中で、異文化コミュニケーションを常に考えていますから、美意識も「対話」の形として出してみたかったというのもあります。 


──「Jブンガク」というタイトル名は、どういった意図のもとつけられたんですか?

丸山 ある意味、その「対話」の精神そのものでもありますよね。日本の海外での表象であるアルファベット一文字と、エキゾチシズムを誘うカタカナというシンプルかつある種ぬえ(・・)的な組み合わせによって、国際化の位相の変化、内外の視線の交錯、そして「他者性」とは何かといったテーマなどをちりばめている・・・と言ったら大仰でしょうか(笑)。グローバル化によって多国籍化が進む一方、ナショナルアイデンティティがかえって強調されている現在の分裂した日本、定義を求める日本、そんな時代の潮流のなかで、あえて分裂のせめぎあいのなかに身を投じようという、意味合いもこのタイトルには込めら  れています。 


タイトルロゴ 川島
 当初は、アルファベット表記も考えたんです。でも長過ぎるタイトルはやめてほしいと、編成のほうからリクエストがありまして(笑)。 


丸山
 あとは、カタカナではなく漢字を使った「J文学」だと、河出書房さんが以前やられていたキャンペーンをどうしても想起させてしまいますしね(笑)。番組のテーマは、それとは方向性が異なりますから。 
  



──丸山さんは、「英語でしゃべらナイト」や「爆笑学問のニッポンの教養」など、ずっと異文化コミュニケーションをテーマに番組制作を考えられてこられましたよね。


丸山 もはや、教条的に上から下に知識や教養が降ろす時代じゃないと思うんです。番組作り全般の話にひろがりますが、情報を単に伝えるのではなく、問題意識を共有しながら提案していくのがこの時代の正解ではないかなと。大切なのは、ここまでは共有・共感できるけど、ここからはできない、という素直な対話の姿勢なんです。「しゃべらナイト」でも面白かったのは、日本語と英語の往復運動でした。日本語と英語の思考を行き来するプロセスそのものを、まとまらなくてもいいから、カメラを向けたらどうかなって、なんとなく思っちゃうんですよね。 


──日本を内外から見ると同時に、過去を現在の視点から見直そうという試みでもあるわけですよね。

丸山 以前、美術番組のディレクターだった時、「伴大納言絵巻」という絵巻物が、当時のスキャンダルとも言うべき事象を描いていて、ある種大衆的な側面も持っていたという話を取材させていただいたことがあります。今 本見開き なら、スポーツ新聞みたいなものでもあったというイメージの仕方もできる、と。ならばその視点から見たらどうなるか?そういう発想で見ていくことで、数百年の時を飛び越えた、人間の変わらない営みを見いだせたら、と思っています。明治時代の小説も、単に恐れ多い作家がつくったありがたい作品・・・というんじゃなくて、我々現代人の感覚・視点で鑑賞することができればいいなと考えています。今の時点の読み方で、作品を通して作家と対話する。その方が、作家もうれしいのではないでしょうか? 
  




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番組data
番組名 Jブンガク ジャンル 情報
放送局 日本放送協会
放送日時 教育テレビ      毎週火曜から金曜日 24時25分から24時30分
教育テレビ(再放送) 毎週月曜から木曜日  6時25分から6時30分
番組URL http://www.nhk.or.jp/jbungaku/
         mobil TV→NHK→50音順→Jブンガク
主なスタッフ EP・丸山、CP・川島貴子(敬称略) スタッフ数 5人
主な出演者 ロバート・キャンベル、依布サラサ(敬称略)
放送開始日 2009年3月31日

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