番組の起承転結は気にしない。全てがあるがままに…。

ワンステップ!

『ワンステップ!』とは……

問題を抱えた現地に参加者が訪れた後は、本人次第。何をやろうと考え、どう行動するかに、制作側の意図は入らない。「テレビ的においしい」シーンも求めず、すべては一般人である参加者たちの自由意思に任せられる。 


─一回あたりの活動期間はどれくらいですか?


さまざまですね。数日から十数日まで。受け入れ側や参加者の都合などもありますから。ただ他の番組と違うだろうなと思うのは、参加者の都合が悪いときは途中でも問題なく帰っていただいています。番組を撮っているから、帰らないでくれと引き止めることはしません。なぜかというと、この番組で行っているのは社会貢献活動であり、一旦参加したからには途中退場は許さないとか「こうあるべき」と決めすぎるのは、ダメなんですよ。番組名に「ワンステップ!」とあるように、一歩目が気楽に踏み出せるものでなければ意味がないんです。僕らが目指す社会貢献活動は、本人の意思によってやろうとする活動であって、できる範囲外のことは求めていません。誰かが途中で帰ると残ったメンバーの負担が増してしまうわけですけども、反面泣く泣く帰らざるを得なかった人も、残った人も、どちらにも新たな気持ちや責任感が芽生えたりするので、制作的にも悪いことだけじゃありません。多くのバラエティー番組などでは、まず先に企画があって、そこにタレントさんに出演をお願いして番組を構成していきますので、日程も活動内容もカッチリ決めています。しかし当番組はドキュメンタリーですから、参加者の意思を尊重し、「こうあるべき」という決め付けはしないようにしています。 


─カメラや音声など、撮影方法で気をつけていることはありますか?


ドキュメンタリー論にもなりますが、現場から制作スタッフの影を消す努力をします。でも、当然存在を消すことはできません。それでどうするかというと、現場の関係者との仲を深めて、視界に入っていても気にならないようにする方法を考えています。制作スタッフは第三者の立場ですが、まったくの無関係の第三者が近くにずっといると、変な違和感になりますから。カメラを回してもプレッシャーにならないように。実際のスタッフはドキュメンタリーに慣れた最小限のメンバーで構成されていまして、優秀な人が多いんですよ。また、「活動内容は自分自身で考えよう」といっているだけに、実際にどのような行動が起きるのかわからないというリスクもあるのですが、ベテランスタッフが多く、上手く対処できています。思ったようにいかなくて悩み始める参加者も少なくないのですが、どのように声をかけ、どの程度踏み込んで話すかは、スタッフの人柄や経験による部分が大きいですね。編集方針としても、いわゆる「テレビ的においしい」ことなどは気にしていませんし、求めません。電器店のない新潟県の島に電気系大学の学生が助けに行くという回がありましたが、テレビ的視点からすると、参加者のキャラクター性が決して濃くないんですよ。電気に詳しく、真面目で実直な人で。いわゆるバラエティー的においしい発言や行動はまったく期待できないわけです。ですが、そうした方々が真面目に社会貢献活動を模索して、自分にできることをやっていくうちに、どんどん表情が変わっていくんです。最後に島のおばあちゃんから「ありがとう」と言われると、初めて自分の努力が感謝されたと大粒の涙を流して。バラエティー番組にはない良さがここにあるように思います。 


─予定調和ではないものの魅力、ということでしょうか。

そうですね。突き詰めれば、スポンサーの理解によるものはすごく大きいですね。やっぱりこのやり方は、つまらなくなるかもしれないというリスクもありますから。トヨタさんは、このリアリティをすごく大事にしてくれて、支えがあったから、テレビ番組としてはあまりなかったことにチャレンジができたんじゃないかなと思っています。そして実際にやってみたら、ステキな内容になったという感じです。僕としても、これまでとはまったく違うアプローチで番組作りに参加できていることに幸せを感じていますよ。タレントさんにドーンと出演してもらって、刺激的な内容をバーンとやって、という作りではなくて、一歩一歩着実に視聴者との信頼関係を築いていければいいと思っています。人によっては、すごく地味な番組と思うかもしれません。MCを除いて登場する人物は素人さんですし、やっている内容もテレビ的には地味かもしれません(笑)。でも、現実があり、そこからいろいろと見えてくるものがあります。生意気な言い方をすれば、等身大の現代社会が見えてくるんじゃないかと思っています。例えば、岩手宮城内陸地震で被災した方々の仮設住宅に、ネイリストが訪ねた回がありました。仮設住宅での被災者の様子というのは、報道番組などでも映し出されていますけど、表層的な栗原市部分しか見えてこないように思うんですよ。でも、ネイリストの人が尋ねていって、最初は「別にいいです」って断られるのですが、次第に受け入れられるようになっていく過程のなかで、現場の真実が実によく見えてくるんです。受け入れてくれた人々とネイリストとの交友関係から、幅広いものが映し出されていくんですね。特に女性においては、ネイルのケアができて本当にうれしかったとおっしゃっていただいたりして、物質的なものはそろっていても、心が満たされていなかった現状が見えてきたりもしたんです。僕自身、これは新たな発見でもありました。最初はかたくなに拒んでいたおばあちゃんが、別れの時には、悪天候の中で若者たちを最後まで手を振って見送る姿を見たとき、すごいドキュメンタリーだなって思いました。 

 
─参加者の人数に決まりはありますか?


特に決まりはありません。ただ、テーマによっては大人数のほうがいいかもと思うときはあるでしょうが、現地の方々のことを考えたりカメラ構成などを考慮すると、なんとなくこの人数かなという数字に落ち着いていますね。複数台のカメラでわーっとやるのも違う気がしますので、1台とか最小限の台数で撮影したいと考えています。



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番組data
番組名 ワンステップ! ジャンル その他
放送局 TBS(TBS系列)
放送日時 毎週日曜日 23時30分から24時00分
番組URL http://www.tbs.co.jp/onestep/
主なスタッフ 制作プロデューサー・大木一史、プロデューサー・荒牧克久 ほか(敬称略) スタッフ数 約50人
主な出演者 山口智充、佐藤隆太。ナレーター・木村匡也(敬称略)
放送開始日 2008年7月

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