番組の起承転結は気にしない。全てがあるがままに…。

ワンステップ!

『ワンステップ!』とは……

番組を企画するにあたって、テーマは「いいこと」。しかし、そうはいっても世の中に「いいこと」の活動は山ほどあるし、どのような番組にしていいのかもわからない。悩みに悩んだ末、導きだしたのは、「いいこと=社会貢献活動とはアイデア」だということだった。 


─2008年7月に放送を開始されましたが、立案の経緯から教えてください。

もともとは、2008年3月3日に放映した『TOYOTAスペシャル 明日のために…今』という特別番組に源流があります。トヨタさんの一社提供番組で、環境問題や恵まれない子どもたちの問題など、世界的な4つの問題について自分たちにできることを実践する内容でした。それを受け、今度はレギュラーでやりましょうという話になり、『ワンステップ!』が始まりました。それから、具体的に番組内容を詰めていったのですが、当初の大きなテーマは「いいことをやる」。しかし、例えばゴミ拾いだっていいことですし、どこまで広くていいのか、どこに番組の主眼を置くのか、どんな「いいこと」をどのように見せればいいのか、すごく迷いました。番組はどこに向かって走ればいいのか、僕の中でよくわからなかったんですね。結局1ヵ月半くらい悩んだんですが、リサーチしているうちに、気づいたことがありました。アメリカの例なのですが、とある人が、長い行列ができるところに1日中並ぶというボランティアをしているんです。それで、身重の人や障害を持つ人が現れたら、自分がいる場所と代わってあげるんですね。それでまた一番後ろに並び直す。こういう方法もあるんだなと知ったとき、ボランティア、社会貢献活動というのは、気付くことでありそしてそこから生まれる知恵やアイデアなんだなと感じました。普通なら、行列を目にすれば面倒だなというふうにしか思いませんが、ハンデを抱えた人にとっては深刻な問題でもありうるわけで、そのような人の目線に立って物事を考えられることはスゴイと思ったんです。どれだけのことに気づくことができるか。アイデアを出せるか。その思いが、番組の骨格になりました。番組では、世の中に貢献したいという人に参加していただき、番組側は活動の場だけを提供する形をとっています。そこで何ができるのかは、参加したあなた次第。ゴミがひどいから、みんなで拾いましょうとスタッフが声をかけることはありません。だから、現場では基本的に参加者任せ。もっといえば、テレビカメラがなくても社会貢献活動をやられるんですよね?という姿勢です。 


─番組では「ボランティア」という言葉はあまり使われませんね。


個人的な考えですが、ボランティアという言葉には何か少し抵抗があって。日本では、してあげるという意味合いがあるような気がして…僕はもっと精神的に対等なところで、活動ができればいいなと考えています。VTRを見ていて、参加者のほうが「ありがとうございます」って感謝の言葉をいうことをよく見るんですよ。してもらった側が言うだけでなく。嗚咽するくらい泣き出す若者もいます。彼らの涙には、そうとうに深い想いと感動があると思っています。ですから、かわいそうだからと上から目線で手を差し伸べるのではないんだと思うんですです。対等であるからこそ、参加者側も成長できるんですね。 


─番組では参加者を募集していますが、反響はいかがですか?


最初はどうなるのかと不安に思っていたものですが、幸いなことに、毎週100人ほどの応募があるんです。この番組を見て、こういうことを行いたい、あれをやってみたいと希望する活動内容を書き記す人もいれば、看護師で何ができるかわからないけど、自分の能力が役立てれば何かに生かしてみたいという人もいます。行く先や日程のマッチングもありますから、応募者全員が参加できるわけではありませんが、これだけ応募数があると制作側としては大変ありがたいですね。「今、私たちに何が出来るのか?」をテーマにしていて、それを伝えることができているのかなと感じています。 


─一般の方から専門職の方々まで、さまざまな方が参加されていますね。

黒島
例えば大工さんがずっといない島に向かうという場合には、やはり大工の技能を持つ方に参加していただきます。問題がある程度明確なら「何もできないけどがんばります」というよりも、技術を持っている人のほうが助けになるのが明白ですから。それでももちろん、その方々がどのようにして大工の技術を生かすのかは、現場を見て知ってからご自身たちで考えてもらいます。プロフェッショナルの方の場合、ご自身の技術を生かしたいという意思を強くもっていますが、これが実際に100%上手くいくかというと、そうでもないんです。参加者ができることややりたいことと、その場で求められていることとが、必ずしも一致しないことがあるんです。「あれ?これ意外に受け入れられないの?」ということになったりして。でもうまく調整しながら問題を解決しようとする姿が、  リアルでいいんですね。東京のカリスマ美容師が、美容室のない島のおばあちゃんたちの髪をカットするという回があったんですが、おばあちゃんたちが本当にうれしそうに「ありがとう」と言うんです。美容師としては、卓越した技術からして当然の結果なのですが、日常業務のなかで見失っていたものを再発見するそうなんです。ただ髪を切ったわけでなく、幸せをもあげられるんだということを感じ、自分の仕事の原点を見つけられたといっていました。 


─参加者側にも、そのような「いいこと」があるんです 中之又 ね。


ロケが終わったあとも、訪れた場所の人と交流を続けたりしている参加者もいるんです。番組制作など関係なしに、そういう関係が続いているのはステキだなと思いますね。閉鎖してしまう小学校の最後の運動会をお手伝いした回があったんですが、最後の卒業式の日、テレビ局側でなく参加者本人たちに直接招待がいったようで、自腹で参列したそうですよ。それだけ素晴らしい信頼関係が築けたんだなと思います。 
 



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番組data
番組名 ワンステップ! ジャンル その他
放送局 TBS(TBS系列)
放送日時 毎週日曜日 23時30分から24時00分
番組URL http://www.tbs.co.jp/onestep/
主なスタッフ 制作プロデューサー・大木一史、プロデューサー・荒牧克久 ほか(敬称略) スタッフ数 約50人
主な出演者 山口智充、佐藤隆太。ナレーター・木村匡也(敬称略)
放送開始日 2008年7月

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