今やNHKの語学番組は、かつての一人こもっての勉強とは異なり、みんなで一緒に楽しく続けてゆくものになった。

リトル・チャロ カラダにしみこむ英会話

『リトル・チャロ』とは……

とにかくすごいスピード感だったという。
語学番組を作る部署にはなんの関わりのないことまで含め、通常の番組作りの何倍もの速度であらゆることを決めていった。だからこそ、ゴリゴリと強引にでもクロスメディアという試みは実現をみたのかもしれない。果たして、『リトル・チャロ』はどんなふうに生まれたのか。 



——リトル・チャロは、最初からクロスメディアを意識して作られた企画だったんですか?

実はここには2つの要素がありまして……。
私は2年前に語学部に異動したんですが、最初から“チャロ”みたいな番組をやりたいと思ってたんです。ただそれはクロスメディアではなく、従来にない語学番組というイメージでした。先生が出てきて講座形式で教えるだけでなく、もっと間口の広い番組。英語をやりたくても続かない人たちに、いかに興味を持って見続けてもらえるかを考えていたんです。アニメでもドラマでもいいんですが、物語そのものがとても面白くて続きが気になるから見続けるということ。勉強としてではなく“物語の続きを見たい!”と思って見てもらって、その副産物として英語も学べちゃうという質感の番組を作りたいなと。 


——語学部の前はなにを担当されてたんですか?

ずっと歴史番組を担当していました、『その時歴史が動いた』とか、『堂々日本史』とかですね。歴史番組は、ある人物の人生ドラマを追って描くことになります。そのドラマ性はやっぱり引きが強いですよね。そのときの発想が応用されたところはあると思います。そのあと『英語でしゃべらナイト』を担当し、異文化コミュニケーションや“英語とは何ぞや”というところに興味を持ったんです。 


——語学部に異動されたときには、そういう思想をお持ちだったわけですね。

ハイ。で、もうひとつ。あるとき局内で「これからはクロスメディアを開発していくぞ」という号令がかかったんです。簡単に言うと、これからはテレビ・ラジオだけの時代ではなく、ウェブや携帯や出版物なども含めたさまざまなメディアにまたがるようなコンテンツ作りが必要になるでしょうと。その第1号として局から「語学が向いてるんじゃないか」と、打診があったわけです。「それならば、私こういうことを考えてます! クロスメディアに向いてます!」と、新しい語学番組の企画とドッキングさせて成立したんです。 
  
クロスメディア企画

——クロスメディアはさまざまなデバイスを組み合わすわけですから、それぞれの特徴を熟知してないといけないですね。


テレビについてはそれまでやってきていましたからわかっていました。でも、他のメディアに関しては熟知してるというほどではなかったですよ。それぞれのプロとタッグを組んでアドバイスをいただきながら、全体の世界観を壊さないように作っていきました。テレビ、ラジオ、ウェブ、紙媒体、それぞれの特徴は直感的にわかるので、そこは生かすように考えて。
たとえば映像がついているので「楽しめる」という点ではテレビが一番。ラジオは音を聴くことに集中できるからリスニング、テキストは何度でも読み返したり書いたりできる……この辺は逆にいうとラジオではできませんよね。そしてウェブでは実際に問題に回答して点が加算されたり、自分なりのカスタマイズができる……こうした「双方向性」はウェブ最大の武器です、放送ではできません。中核に『リトル・チャロ』——われわれは、コア・コンテンツと呼んでいますが——を置いて、メディアごとの武器を生かす形で出していくことを考えました。 


——準備期間はどのぐらいかかったんですか

結構時間がなくて。ホントに突貫工事でやったんですが、私が一昨年の6月に語学部に入って、番組は昨年3月末にスタートしています。1年かかってませんね(笑)。通常のアニメ番組の制作スパンから考えても短い準備期間だったので、みんなに「今からじゃ遅いよ」って言われました。私が「こんなのがやりたいんですけど……」って言った翌週には、ラジオは週5回、テレビは週1回、ウェブはこんな感じ……って全部プランニングが決まってた。普通はそこに3カ月とか半年とかかけるんですが、すべてがものすごいスピード感で進んでましたね。 
  キャラ集合


——長野さんは、過去にアニメを作られたことは?


『きょうの料理ビギナーズ』に出てくる高木ハツ江さんというキャラクターを、作ったことはあります。しかし本格的なストーリーを持ったキャラクターを作ったのは初めてでした。
現状の実写取り込みの背景とかわいいキャラクターの融合というアイデアでした。さすがにチャロのキャラクターデザインについては時間をかけましたが、ほかの犬たちに関してはすんなりと決定しました。同時進行で、それ以外のネットだとか携帯だとかも立ち上げて。 


——……2年ぐらいはかかってんじゃないかと思ってました。


普通の感覚ならそうでしょうね。しかも初めてやることだらけでしたし。だいたいアニメを制作してくれるどんなプロダクションがあるのかもよく知らない、だってわれわれ語学部ですから(笑)。 


——立ち上げるときに参考にしたものって何かありますか。
英語のコンテンツとして“どんどん続きが見たくなるからついやっちゃう”っていう発想に至ったのは……あるウェブのアンケートなんです。「あなたはどういうふうに英語学習をしていますか」という問いだったんですが、回答の1位か2位が「洋画のDVD」だったんです。それで、なるほどなと。要は、「勉強!勉強!」ってカリキュラム的なものを積み重ねていってもなかなか覚えられない表現やフレーズが、自分の好きなストーリーとか感情移入できるキャラクターのセリフに使われていたら覚えたくなるんですよね。そういうふうに興味を持ちながら学習するのが一番続くんだろうなと思ったんです。ただ、アメリカやイギリスの映画で話される映画って容赦のないネイティブ・イングリッシュですから、スラングもあればものすごいスピードでまくし立てることもあるんです。ですから、日本人向けに作ったストーリーで、英語のレベルは多少加減するけれども、実用会話の要素がたくさん入って——しかも惹き付けられる——そんなストーリーができたら、洋画のDVD派の人たちを満足させられるんじゃないかな、って思ったんです。それはひとつヒントになりましたね。 


——お話伺ってると、語学番組に向いた手法だというのがよくわかりますね。

やっぱりテレビ・ラジオだけでは達成できないことがいろいろあるんですね。語学って“読み・書き・発声・話す・聞く・理解する”っていうふうに総合的に接していかないといけませんから。メディアを変えることで異なる能力が鍛えられる。それらを総合的に使うことで初めてバランスのいい学習ができます。そういう意味ではクロスメディアにうってつけでしょうね。



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番組data
番組名 リトル・チャロ カラダにしみこむ英会話 ジャンル 情報
放送局 日本放送協会
放送日時 教育テレビ 月曜日 23時10分から23時30分
再放送   月曜日 6時40分から7時
「5分アニメ リトルチャロ」
教育テレビ 水曜日 19時45分から19時50分
再放送   土曜日 10時55分から11時
番組URL http://www.nhk.or.jp/charo
mobil TV→NHK→50音順→チャロ
主なスタッフ   スタッフ数 約5人
主な出演者 声優・純名りさ(チャロ)、島田知美(翔太、トモコ)、他
ナビゲータ・シェリー、マイケル
チャロサポーター・坂本麻紀子、マリー、大野瑠衣、石川雅宗、瀧川伸一郎
講師・佐藤良明(敬称略) 
【原作】・わかぎゑふ
【英語脚本】・佐藤良明・栩木玲子
放送開始日 2008年4月から(2009年再放送)

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