
日本列島には本当にさまざまな風景があるのである。それを丁寧にしっかりと追っていけば、ありとあらゆる、すばらしい映像が撮れるのだ。が、この番組はそこに“珍”なる要素を乗せた。しかも世間の人々が“珍”だと気づいた風景を。 投稿を募り、日本列島津々浦々まで出かけて行ってとらえてくる、この番組。気軽なバラエティーだけど、非常に意外な出自のヒミツがあった。
—番組が生まれたいきさつを教えてください。
もともとはネプチューンさんで新しい企画をっていう前提があったんです。それで作家さんたちと 「日本のヘンな風景を紹介するのは面白いよね」という話になって。NHKの『新日本紀行』かな……日本の美しい風景とか荘厳な風景を紹介していくという有名な番組がありますよね、実はあれが発想の元になっています。日本のヘンな風景を、あえてクラシック音楽なんかとともに、NHKふうに扱ってみるのって面白いんじゃないかというところから始まりました。奇妙なものを奇妙なものとして紹介するのではなく、“これも日本の文化遺産だ”というスタンスで。
—“ナニコレ”というネーミングの意図は?
まあ驚いたときに“何これ!?”ですよね。あとは“コレクション”という意味もちょっと入ってます。コレクションしていくという意味合いもあるのでカタカナに。
—最初は深夜のスタートですよね。で、投稿を前提にしているわけで、やっぱりネタに関しては苦労されました?
そうですね、最初の不安はそこでした。でも始めてみたら意外に好調で。“わが町の名物”みたいなのって全国にいっぱいあるんですよね。なんか面白いから人に教えたいんだけど、教えるような機会なんてあんまりありません。それで喜んで投稿してくれる人が多かったんです。「こういうマニアックだけど面白いものを発表できる場を与えてくれて嬉しい」と。みるみる投稿が増えていって、それにつれて番組もノってきたんですね。
—深夜で13%台の視聴率を得て、ゴールデンに進出しました。その際、注意されたことはありますか?
実はもともとゴールデンを目指して立ち上げた企画だったんです。ゴールデンに上がった昨年の秋にもいろいろ取材をしていただいて、「何変えますか?」って尋ねられたんですが、正直、あんまり変えてないんですよ。看板ネタとかで、あまりにマニアックなものは多少減らしてますけど、それによって「なんで扱わないんだ」っていう声もいただいてますし、深夜時代からの珍百景ファンを悲しませてもいけないので、もっとマニアックなものとか“そこに注目するんだ!”っていうような狭いジャンルのものをあえて扱っていってもいいのかなと。バランスは見なくちゃいけませんけど。 最近反省してます。
—ゴールデンでエンジンがかかってきた実感はありますか?
まだまだこれからですよ。
—今、どのくらいの投稿が来てるんですか?
今は週で1000を超えたりもします。オンエアがない週もあるのでばらつきはありますが、ゴールデンに上がってからの方が多いですね。
—採用の基準を教えてください。
まずはインパクトですね。“ナニコレ”っていうぐらいのもので、どれだけ奇妙だと思わせることができるか。理由が知りたくなるかどうか……なんでこんな巨大な岩がこんなところにはさまっちゃってんだろう、みたいな。次は謎が知りたくなるというポイントが乗っかってるかどうかですね。風景だけ見せて「ハイ、終わり!」じゃなくて、その後のVTRの面白さが大切です。最初はもちろんインパクトなんですけど、それを見せておいて、なぜこうなっちゃんだろう、なぜこの人はこんなことをしてるんだろう、なぜこの地域ではこんなお祭りが行われるようになったんだろうとかって、インパクトのあとにどれだけ広がりがあるか。 あと、その珍百景がある土地以外の人がみたときには面白いんだけど、その土地の人にとってはわりと普通、みたいな。そこのギャップ感も気にしてますね。
—どんなジャンルの投稿が多いですか?
深夜のときは看板ネタとかが多かったんですが、今はペットとかお店ですね。それも自分のペットを投稿してくる人が結構多くて(笑)。それは自慢じゃないか!って投稿も結構ありますね(笑)。
—人気の高いジャンルはどうですか?
ベーシックに人気があるのは、自然のダイナミックな光景、奇跡的な光景。空中で木が1回転してそのまま伸びてるのとか。それがこの番組のベースだと思うんです。あとはペットじゃない動物ネタ……たとえば大量発生的なものだとか、ある動物園のこの動物が不思議な動きをするとか。あとはその土地土地の人ですね。お店の名物店主とか。
—番組的にはどんなジャンルを押していきたいですか?
大切なのは全体のバランスだと思うので、“これが一番”っていうのはないですね。ジャンルというよりも、そのネタの中に“人”がちゃんといてそのドラマが見られるのが、いいなと思っています……ゴールデンタイム向きでもあるし。